メダルラッシュと言われる今回のリオ五輪。
日本は、現在のところ、金12、銀8、銅21。
すでに過去最高だったロンドン五輪の38を上回っている。
しかし、オリンピックは、結果よりもそのドラマ性が重要だと思う。
それぞれの選手には、そのオリンピックという舞台に立つまでのドラマがある。
何年も努力し、肉体を鍛え上げ、勝ち進んで、国の代表として選出されて、そこにいるのだ。
4年に一度の舞台は、次回は4年後にしかこない。
その舞台はこの日本の東京で開催される。
今回の五輪で注目したいのは、4連覇を達成した“伊調馨”より、
4連覇を逃した“吉田沙保里”の方が、メディアの扱いが大きいことだ。
特に印象的なのは、吉田選手が、決勝で敗れたあと、
「金メダルが取れなくて、ごめんなさい。」と、泣いて謝る姿だ。
日本の選手は、金メダルを逃すと、
「期待に応えられなくて申し訳ありません。」と、謝罪することが多い。
これは、国を代表することの責任感からなのかもしれないが、
自分で努力に努力を重ねて、その舞台にたったのだから、
その結果に対して謝罪することに違和感を感じるのは、自分だけではないと思う………。
“オリンピックには魔物がいる。”
と、期待していた結果が出ない時に、アナウンサーや解説者とかが使うが、
“勝負は時の運”であり、“人は神ではなく、完璧ではない。”のだから、
霊長類最強と言われていても、彼女に勝つ為に、研究に研究を重ねて戦略を練ってきた相手に、
1回くらい負ける事は十分に有り得ることなのだ。
それでも、吉田選手は、たった一度の敗北を泣きながら謝罪したのだ。
勝つ事が当たり前という重圧と責任。
これが“魔物”なのだろうか。
オリンピックの代表になるために、
コーチをはじめ、多くの人たちの支援が必要になる。
その恩義に報いる為に、選手は責任を感じながら、世界と戦っている。
だから、負けたときに謝罪をしているのだろう。
人は、与えた分、与えられることになり、
与えられた分、人に与えれば、また、その分、与えられることになる。
コーチから教えられた技術は、自分がコーチになった時に、次の世代の選手に教えることになり、
与えられてきた支援を、次の世代に与える事になる。
人は、与えれば与えるほど、与えられることになる。
それが“プラスの連鎖”になる。
「幸福は香水のごときものである。」
人にふりかけると、自分にも必ずかかるものだ。
~こんな話があります。~
アルゼンチンのプロゴルファー、ロベルト・デ・ビンセンツォは、
あるトーナメントで優勝し、賞金の小切手を受け取って帰る準備をしていた。
彼が一人で駐車場に向かっていると、一人の女性が彼に話しかけてきた。
彼女は彼の勝利をたたえた後、自分の子供は重い病気にかかって死に掛けているが、
お金がないために、医者に見せることもできないのだと彼に伝えた。
それを聞いて哀れに思ったビンセンツォは、
「これが子供のために役立てば良いのだけど」
といって、獲得したばかりの賞金の小切手を彼女に握らせた。
翌週、彼がカントリークラブで食事をしていると
テーブルにゴルフ協会の職員がやって来た。
「先週、駐車場にいたやつらが、君がトーナメントで勝った後、
そこで若い女性に会っていたといっていたが・・・」
ビンセンツォはうなずいた。
「実は」と職員は続けた。
「彼女は詐欺師なんだ。病気の赤ん坊なんていないんだ。
結婚すらしていないんだよ。君はだまされたんだ。」
「すると、死に掛けている赤ん坊なんていないのか?」
「そのとおりだ」
すると、ビンセンツォは笑いながらこう言った。
「そうか。そいつは今週で一番の良い知らせだ。」
~~
彼は、騙されたことより、死に掛けた赤ん坊がいなかったことの方が、
自分にとっては重要だという。
おおらかな心で、人間的に余裕があるわけです。
「人は、与えれば与えるほど与えらる。」
きっと彼は、次のトーナメントでも賞金を獲得したでしょう。
普通、人は、大事なもの、価値あるものは独占したい。
ましてや、大金ともなると、そう簡単に他人にあげてしまうことはせず、
しまい込んでおきたいと思ってしまうもの………。
与えられたら、少しお返しする!といった感じです。
しかし、真理はまったく逆。
より多く与えた人ほど、豊かになっている訳です。
貴方におきているのは、
“プラスの連鎖”?
それとも、
“マイナスの連鎖”?
今週は、3点、3点。
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